ナーミンの玉手箱

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僕らはよく間違える。直感と熟考、ランダム性について。『ファスト&スロー』

バットとボールは合わせて1ドル10セントです。バットはボールより1ドル高いです。ではボールの値段はいくらでしょう?

 


多くの人は直感的に10セントの答えが浮かんでくると思う。でもその答えをチェックしてみる人はそう多くはいない。


チェックしてみればすぐに分かるのだが、答えは5セントだ。ボールが10セントだとバットは1ドル10セントとなり、合計1ドル20セントになってしまう。


この問題でいいたいのは、僕らは直感的に浮かんだ答えを信じて、すぐにGOサインを出してしまう性質があるってこと。


『ファスト&スロー』ではこのような直感と思考の問題について取り扱った本だ。

著者ダニエル・カーネマンは「プロスペクト理論」の生みの親でもある。失うダメージは何かを得る場合の2倍であるという理論。(超ざっくり言えば)

 

 


この本は確率についても取り扱っていて、面白かったので触れてみたい。

 



私たちは原因追求思考が大好きなので、実際にまったくでたらめに起きたことのランダム性を評価するときに、重大なミスを犯しやすい。たとえば、六人の赤ちゃんが病院で次々と生まれた場合の性別を考えてみてほしい。男の子と女の子が生まれる順序は、明らかにランダムである。それぞれの事象は互いに独立して起きるのであり、直近数時間以内にある病院で何人の男の子と女の子が生まれようと、次に生まれる赤ちゃんの性別にはなんの影響も及ぼさない。では、男の子と女の子が生まれる順序として、次の三通りを考えてほしい。


男男男女女女
女女女女女女
男女男男女男


どの順序も、起こる確率は等しいのだろうか。直感的な答は「ノー」である。そしてこの答は間違っている。どの事象も互いに独立して起きるのだから、男が生まれる可能性と女が生まれる可能性は(ほぼ)等しい。したがって起こりうるどんな順序も、それが起きる確率は等しいのである。さていまあなたは、この結論が正しいと知っている。にもかかわらず、それはあなたの直感に反したままだろう。というのも、あなたにとって、いま挙げた三例のうち三番目だけがランダムに見えるからだ。実際にも大方の人が」男女男男女男」が起きる確率は、他の二つの順序よりはるかに高いと判断した。

 


身近な例で考えてみれば、大富豪を思い出してほしい。自分のところにジョーカーや2、エースなどがいっぱい配られて楽勝なこともあれば全く来ない時が続くこともある。でもそれがランダムということだ。


みんなに均等にジョーカーや強いカードが配られれば、「ちゃんとシャッフルされている」と思うのかもしれない。でも実はそれはものすごく歪な現象であることに気づいてほしい。なぜなら統一されたランダムは、そもそもランダムではないからだ。参加者が4人いたとして、それぞれに2とエースが1枚ずつ配られる。それが何回も続く。ありえなくはない。でもずっと続くのなら、それはランダムではない。確かに何十万回とカードを配って、その平均をとれば概ねみんなに均等に強いカードがくばられているはずだ。でも1回1回の事象をみればカードはバラバラ、誰かに偏る、それがランダム、それで当たり前なのである。おわり。