ナーミンの玉手箱

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いい絵かどうかって、どうやって判断してるんですか? 『ブルーピリオド』

大学時代に、小学生絵画コンクール審査のボランティアに参加したことがあります。何人か審査委員の方がいて、応募された絵を審査できるよう会場いっぱいに広げる仕事でした。1次では本当にたくさんあった絵が、2次、最終審査と進むたびにドンドン絞られていく、そんな感じだったと記憶しています。

 

そこで、ただ雑用をするだけではつまらないので、審査員の方に聞いてみたんです。

 

「いい絵かどうかって、どうやって判断してるんですか?」

 

すると審査委員の方はこう答えました。

「まず子供らしさが大事。大人の意思が介入している絵はダメ。大人に描かされているのが伝わるような絵とかね。逆に大人受けを狙っている絵もダメ。

自分の好きなものを自分の世界観で気持ちよく描けている、そんな純粋で子供らしい絵がいいね。」

 

 

 

 

さて、なぜに絵か!?といいますと、今日は自分が久々にこれは面白いっ!!とハマっている漫画『ブルーピリオド』を紹介したいからなんです。

 

 

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

 

 

 

 

この漫画、ジャンルはいわゆる「美術マンガ」なわけですが、取り扱う題材が絵画なだけあって、それに負けないぐらい漫画の絵が上手い! そして展開がアツい!

 

主人公その他大勢のキャラがいて4コマで萌え萌えで「ま○がタイムきらら」的なやつとは大きく一線を画す、ガチンコ美術受験マンガです。

 

ちょっとだけあらすじ紹介。

主人公の八虎は、普段はDQNな友達とつるんでいるが成績優秀、おまけに容姿端麗、なんでもそつなくできる万能型高校生。誰とでもコミュニケーションでき、気遣いも完璧な、いわゆる八方美人いい子ちゃんです。みんなから称賛されているそんな彼ですが、周囲の期待に応え続ける事に、どこか空虚さを感じています。本当の自分ってなんなんだろな。本当の感動、本当にやりたいことって・・・

 

そんな中、美術の授業で課題が出されます。

「わたしの好きな風景」を描いて提出すること。

 

 

八虎は早朝の渋谷に特別な感情を抱いていました。

オール明けの眠いような空気の中で見る渋谷・・そこは静かで、青くみえるのです。

しかし友達にそのことを伝えても、「は?ゴミくさくね?」と言われるだけでした。

ですが今度は恥を忍んで美術部の先輩に伝えてみたのです。

 

すると先輩は八虎の青を理解してくれました。そしてこう言ってくれたのです。

「あなたが青く見えるなら、りんごもうさぎの体も青くていいんだよ」

 

そこで自信を得た八虎は、美術課題で自分の感じるままに早朝の渋谷を表現しました。

色々な絵の具を混ぜて描いた青、そのうえから描いたビル。

「これ、きれいだね」と褒めてくれる人、「あ~オール明けの渋谷か!」と分かってくれた友達。

 

「八虎にはこんな風に見えてんだ、なんとなくわかるわ!」

 

八虎は生まれて初めて、ちゃんと人と会話できた気がしました。

この出来事から、八虎はどんどん美術の世界に引き込まれていきます。

 

 

自分の好きなことを全力で表現して、それが他人に認められたときって本当に震えるほどうれしい。自分もそういう経験があるからよくわかります。それに他人ウケなんか考えない、打算の欠片もない純粋さ、ただ真っすぐな自己表現は、かえってそれが強く人の心をうつものなんですよね。

 

この漫画を読んで、久々になにか作る側になりたい!と思い、ブログを始めるに至っています。創作意欲を刺激する一冊!他人を気にするばかりの生活に少し空虚な気持ちを感じているなら、ぜひ読んでみてください。